胎内記憶の内容

子どもたちは覚えている

子どもの語る胎内記憶は、

「暗くてあたたかかった」
「水の中にうかんでいた」
「お母さんの声がきこえていた」

といったように、多くはシンプルなものです。

しかし、中にはかなり詳細な記憶もあります。子どもたちは大人が伝えていない状況を知っており、それらが現実と符合しているケースも少なくありません。

たとえば、ある母親は妊娠中、激しい胎動があったとき、思わず「痛い! あまり動かないで」と言ったことがあったそうです。するとその後、胎動は減ったそうです。この母親は、子どもが4歳になったとき、「なぜ、おなかの中であまり動かなかったの?」と質問しました。
すると子どもは、

「ママが『いたい』っていったから。かわいそうだったから、動かなかったの」

と答えたそうです。

また、ある母親は妊娠初期に子宮筋腫が見つかり、筋腫が大きくなって胎児を押しつぶしてしまうのではないか、と不安に思っていました。その後無事に出産を終え、母子ともに元気でした。
するとその子は6歳になったとき、

「おなかのなかに、なにかあったでしょ。それが大きくなると、ぼくが生きていけなくなっちゃうやつ。大きくなってつぶされたらどうしようって思って、こわかったの。ママ、ぶじに生んでくれてありがとう」

と言い出したのです。母親は、子宮筋腫のことは父親にしか話していなかったため、とても驚いたと言います。
同じように、胎内の状況だけでなく、誕生時の出来事を覚えている子どももいます。

「くるくる回って生まれてきた」
「まぶしかった」

といったものだけではありません。
胎便をして羊水がにごっていた女の子は、

「ママのおなかのなかで、うんちしちゃったの。(生まれてくるときも)なにか、のどにつまって、オエッ、オエッてなったよ」

と言っています。
また、へその緒が首に巻きついている状態で生まれた女の子は、

「生まれるとき、首が引っ張られて苦しかった」

と語っています。

このような胎内や誕生時の記憶から見えてくるものは、意識をもち、主体的に状況に関わっている子どもたちの姿です。